自律神経とは?乱れる原因や症状、バランスを調整する方法についてわかりやすく解説

みなさんは自律神経と聞くと何を思い浮かべますか?

ネットで自律神経を検索すると、「自律神経の乱れ」「自律神経に影響する」など、なにかとネガティブなワードが多く出てきます。

  • 「自律神経が乱れると調子が悪くなる」
  • 「ストレスがたまると自律神経失調症になる」

ではそもそも自律神経とはなんなのでしょうか?

この記事では、自律神経とは何なのか?また、自律神経が乱れる事で起こる症状や、その原因と、自律神経のバランスを整える方法について解説していきます。

そもそも自律神経とは?

自律神経とは、身体にある神経系のひとつで、身体の調子を良い状態に保ってくれるための神経の総称です。

人間の体には身体の体温調整や呼吸の維持、発汗や食べ物の消化など、生命の維持に必要な事を自律神経の働きによって行う事が出来ています。

自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の2種類の神経から成り、互いにバランスを取りながら体の状態を整えています。

交感神経について

交感神経は、日中起きている時や緊張している際に優位になる神経で、日常生活を活発に動くことができるように体の状態を調整させます。

交感神経の働きの例を1つ挙げてみます。

体を維持するためには酸素が必要不可欠です。また、身体を動かすためにはより多くの酸素が体には必要となります。

交感神経が優位になると、気管支を広げてより多くの酸素を取り入れ、さらに心拍数を上げて全身に酸素を届けようとします。

緊張している時に汗をかいたり、喉が渇くことも、交感神経の影響によるものです。また活動中や気を張っている際は、排泄する事を無意識に避けようとし、便が出ないように肛門の筋肉(肛門括約筋)が締まるなどします。

私たちが日中に不便なく活動できるのは、交感神経の働きによるものになります。

副交感神経について

副交感神経とは、寝ている時やリラックスしている時に優位になる神経で、交感神経と正反対の働きをします。

体を激しく動かす必要がないときは多くの酸素を必要としないため、呼吸は深く遅くなり、心臓はゆっくりと動くため血圧が下がります。

深く睡眠が取れるように瞳孔を狭くして外界から光を取り込まないようにしたり、寝ている間に目が乾かないように涙を多く分泌したりもします。

またその他にも、食べ物を消化するため胃腸の動きが活発になったり、排せつが促されたりするのも副交感神経の働きによるものです。

副交感神経は体を十分に休ませ、栄養の吸収や排泄、身体機能の調整など生命維持に必要な行為をコントロールしている事になります。

自律神経の乱れによって起こる症状

交感神経と副交感神経は、互いにバランスをとりながら体の働きを支えています。しかし、日常生活において、何かしらの原因でバランスが崩れてしまい、不快となる症状が現れてしまいます。

交感神経と副交感神経からなる自律神経は、身体全体に張り巡らされており、自律神経が乱れてしまうと様々な症状が現れます。

不眠や疲労感、頭痛、肩こり、動悸(どうき)や息切れ、発汗、鬱、倦怠感、喉のつまり、胃痛や下痢、便秘などの消化器症状、イライラや不安などが挙げられます。

人によって症状が違いますので、症状が現れる場所や程度も異なります。ですので自律神経のバランスが乱れると必ず特定の症状が現れるというわけではありません。

自律神経と検索すると、厚生労働省のサイトで自律神経失調症という病名が出てくると思います。また、その他にも何かで聞いたことがあると思われます。

「自律神経の乱れって自律神経失調症のことなの?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。

自律神経失調症は、自律神経のバランスの乱れによって起こる症状の総称ですが、実は正式な病名というわけではありません。自律神経がどれくらい不調なのか検査などでは明らかにできないからです。

適切な対処をすれば自律神経による症状は良くなることが多いため、暫定的な診断名として使用されています。ただし自律神経失調症と診断するためには、身体の異常や精神的な病気などがないことを確認しなくてはなりません。上記のような様々な症状が自分に該当するからといって、自己判断しないよう気を付けましょう。

自律神経が乱れる原因とは?

「自律神経が乱れると調子が悪くなるのは分かったけど、何が原因で乱れるんだろう?」と思われるかもしれません。

自律神経が乱れる原因とはいったいどういうものがあるんでしょうか?

ではここからは、主な乱れの原因について解説していきます。

①ストレスによる影響

自律神経の乱れで一番影響が多いのが、ストレスだと言われています。

日常生活で何かしらのストレスを受けた時に、いつも通りの状態を保つため体に様々な反応や症状が出ます。

その一つが交感神経の活性化になります。

ストレスを受けると、対応するために交感神経が優位になり、しっかりと呼吸をして酸素を取り入れたり、全身へ血液が行き渡るように心拍を速くしたりします。つまり体が緊張状態になるため、リラックスさせようとして深呼吸をして落ち着かせようとします。

ストレスという非常事態を乗り切るために、体を整えているといったイメージをすると分かりやすいかもしれません。日常の中にはストレスの原因となりうるものは数多くあり、こうした反応は心身を守るために必要なものですので決して悪くはありません。

しかし、こういった状況や状態が長期間にわたり続いてしまうと、心身が耐えられる限界を超えて自律神経のバランスが崩れ、不快な症状が現れてしまいます。

自律神経のバランスが乱れるのを防ぐためには、ストレスにうまく対応し、対処する術を見つけることが重要だと考えられます。

②不規則な生活習慣

ストレスと並んで自律神経の乱れの原因になっているとされるものが、生活の乱れです。

人の体の機能は、一日24時間のリズムで活動しています。そのため、睡眠や食事、昼夜の変化に合わせて体温やホルモンの分泌など変化に応じて変化させています。

自律神経も体のリズムと同じで、朝目覚めると交感神経が優位になり、夕方から夜間にかけて副交感神経が優位になります。そういった自律神経の働きにより、日中は活発に動くことができて、夜間はゆっくりと休むことができるようになっています。

しかし、昼夜逆転の生活や慢性的な寝不足、不規則な食習慣、暴飲暴食などを続けていると、自律神経の乱れを招くことにつながります。

自律神経を整えるためにも、規則正しい生活が大切だといえます。

③季節の変化による影響

季節の変わり目のタイミングで、なぜか調子が良くないと思ったことはありませんか?

季節の変わり目は気候が不安定だったり、会社の異動や新学期など環境面でも変化が多かったりする時期になります。特に春先は気温の変化が大きくなり、進学や進級、就職・転職といった新しい環境へ身を置く事も多くなります。

気候への適応による身体的な負荷に加え、新しい環境への不安やプレッシャーなど心身へのストレスにつながる要素が多く、自律神経のバランスも乱れやすい時期であると言えます。

季節の変わり目には、意識して自律神経のバランスを整えるよう心掛けましょう。

④更年期障害などの病気

自律神経の乱れは、様々な病気や症状を起因として引き起こされることがあります。

代表的な病気として更年期障害があります。

女性の場合、女性ホルモンは脳の「視床下部」という場所から指令を受けて卵巣で分泌されます。しかし卵巣の機能が衰えてしまうと、指令が出てもその通りにホルモンを分泌することができません。そうなってしまうと脳が混乱して「もっとホルモンを出さなければ」と必要以上の指令を出してしまいます。

自律神経も視床下部によってコントロールされているので、混乱の影響を受けて乱れてしまい、さまざまな症状が起こっています。

男性の場合、重度のストレスや環境の変化などで、男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が減少すると自律神経失調症のような症状が現れることがあります。

テストステロンの分泌量が減少する理由は、ストレスの影響以外にも、加齢によってテストステロンをつくる細胞が減ることや、視床下部からの指令が減ることなどが指摘されています。

自律神経を整えるためのポイント

自律神経の乱れによる症状が当てはまっている人は、どうすれば改善されるのか気になるところだと思います。

ここからは、自律神経を整えるためのポイントについて詳しく解説していきます。

ご自身の生活でチャレンジできそうな事は、ぜひ試してみてください。

①ストレス解消を心掛ける

自律神経の乱れにはストレスが大きく関わっています。ストレスに対してうまく対処することが自律神経の乱れを整えるための重要なポイントです。

心身のリラックスや気分転換になることを日常生活の習慣に取り入れてみましょう。

ジョギングや体操などをして体を動かす、休みの日に趣味を楽しむ時間を持つ、ゆっくりと入浴するなど、さまざまな方法があります。

ストレス対処方法は人によって合う合わないがありますので、ご自身に合った方法を試してみてください。

②生活リズムを整える

生活習慣が乱れた状態が続くと、自律神経にも影響します。自律神経を整えるためには、食事や睡眠・休息、仕事といった日中の活動バランスを意識して、生活リズムを整えることが大切です。

バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を習慣づけましょう。

仕事を頑張ることは大切ですが、働き過ぎたり無理をしたりしないようにすることも必要です。身体的にも肉体的にも負荷をかけすぎると生活の乱れに繋がってきます。

生活リズムを整えて健康的に過ごしていれば、身体機能を正常に保ち、精神を安定させることができます。

③物事の見方や考え方を変えてみる

ストレス解消を心掛けても、家庭や仕事でのストレス源がなくならないとどう対処すればいいのかわからないかと思います。

どんなにストレスを発散しよう!と行動しても、ストレスの原因となるものがずっと付きまとっている状況では辛いはずです。

そんなとき、物事の見方やご自身の考え方を変えてみるとストレスが軽減される場合があります。

自分が抱えている問題や悩みに対して、他の人ならどのように対処するか?、また自分自身はどのようなことを心配しているのかを俯瞰して考えてみましょう。

同じ問題や悩みであっても、見方や考え方が変わると気分も変わってきます。ストレスが溜まって気持ちが落ち込んでいるときは、考え方もネガティブになりがちです。

そんな時は視野を広く持って、柔軟な見方や考え方ができるように心掛けてみてください。

まとめ

自律神経とは、身体に張り巡らされている神経であり、交感神経と副交感神経から成ります。

この二つの神経は互いにバランスを取りながら、私たちが無意識のうちに血管や内臓などをコントロールして体を良い状態に保ってくれています。

しかし過度なストレスや不規則な生活習慣などによってバランスが乱れ、さまざまな不調が現れることがあります。

自律神経のバランスを整えるためには、まずはストレス解消を心掛けて、生活リズムを整えることが重要です。普段の生活を見直して、できるところから改善していきましょう。

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